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千枝

(もう、夏だなぁ……)
手近な木陰に入って腰を下ろし、ぼんやり空を見る。
心地良い風が吹いていて、それほど暑さを感じなかった。
ごろんと寝転んで、このまま眠ってしまいたくなる。
千枝

(気持ちいいな……)
芥離

「お昼寝ですか?」
驚いて目を開くと、芥離先生がこちらを覗き込んでいた。
千枝

「か、芥離先生!?」
芥離

「あ、そのままでよろしいですよ?」
千枝

「い、いえ、起きます!」
さすがに芥離先生がいるのに寝てられなくて、起き上がった。
くすりと笑って、芥離先生は隣に腰を下ろした。
芥離

「いい天気ですね」
芥離先生がグラウンドを見ながらぽつりと呟く。
千枝

「はい、でも、これだけ晴れていると、すぐに日焼けしちゃいそうですけど」
芥離

「こんがり焼けた肌も、健康的でいいと思いますよ」
そう言う芥離先生の肌は、羨ましくなるくらい白くて艶々していた。
千枝

「芥離先生は、あまり日に焼けないんですか?」
芥離

「そう、ですね。昔からこんな感じです。長時間、日に当たっていると赤くはなるのですが」
千枝

「だから、長袖なんですか?」
もう夏も間近だから、半袖の方が何かと過ごしやすいと思う。
芥離

「これは……まあ、そんなところでしょうか」
千枝

(あれ……?)
芥離先生が自分の腕を見下ろして、珍しく言葉を濁したので、私は少し違和感を覚えた。
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